こんばんは、ヒマジンです。今日も今日とてお題を貰ったので書いていきます。
今回のお題は『公衆電話』です
というわけで書いていきます。
「ええ……マジか……」
予想外の出来事に、俺はため息をついた。
スマートフォンの充電が切れたのである。仕事が終わり、仕事場から最寄り駅に向かう途中での事だった。
昨日の夜、充電するのを忘れたまま寝た結果がこれだ。今朝はそれに加えて寝坊気味で、モバイルバッテリーやケーブルを持っていくのも忘れた。それにしたってまだ20%ほどは充電が残っていたはずなのだが……このスマホも買ってから結構使い込んでいるし、バッテリーの寿命が来ているということなのだろう。そろそろ買い替えた方が良いのかもしれない。
しかし、困った。今日はなんとなく外食がしたい気分なのだ。
俺は社会人として普通に働いてはいるが一人暮らしはしておらず、実家にそのまま住んでいる。朝食は食べないので用意して貰ってないが、夕飯に関しては別だった。家族でなるべく一緒に食べるようにしているのだ。
今の仕事現場は遠く、家の最寄り駅までここから電車で1時間程度掛かる。なので、夕食をするタイミングもそれに合わせてくれており、食べない場合は電話などで連絡する必要があった。
しかし、スマホの充電が切れている以上、連絡する手段がない。こうなれば大人しく帰宅するべきだと思うが、俺の舌はもうジャンクなラーメンの舌になっているのだ。何としても外食をしたい。が、家族を待たせるのは論外だ。
どこかで充電すべきか。しかし、パっと思い浮かぶ場所はない。ケータイショップでは無料で充電出来るスペースが存在するが、そもそも仕事場の最寄り駅付近には存在していない。同じように充電するスペースがあるような大型の家電量販店もなく、充電が出来る飲食店を利用するのはどう考えても金の無駄遣いだ。
そもそも、充電する時間が惜しいというのもある。そして俺は1つの考えに思い至った。
「公衆電話を使えばいいじゃん」
何もスマホを使うことに拘らなければ電話する手段はあるのだ。空腹と焦燥感のせいで思考が鈍っていたのか、そんな単純な解答に中々辿りつけなかった自分が馬鹿らしく思える。
そうと決まれば行動だ。俺は公衆電話を探すことにしたのだが……
「……そもそも、公衆電話ってどこにあるんだ?」
普段から何となく公衆電話や電話ボックスがあるのはわかるのだが、そもそもが全く利用しないので場所を把握していなかった。携帯電話の普及により最近では数もめっきり減っているようだし、どうしたものか。
「う~ん……」
記憶を探るも、明確な場所は思い出せない。数分唸って、ようやく可能性を見つける。
「公園とかに電話ボックスが置いてたりするよな……」
確か、現場に歩く道の途中に小さな公園があったはずだ。もう駅の近くに来ているので仕事場に戻る羽目になるが仕方ない。
そうして公園まで歩くと――
「――あった!」
公園の端っこにぽつんと光る電話ボックスを発見し、意気揚々として近付く。いざ、利用しようとした所で俺は致命的な事実に気付いた。
「小銭が無い……」
仕方なく飲みもしないお茶を自動販売機で購入し、小銭を作る。しかし、またしても問題が発生した。
「小銭が認識しない……」
古い公衆電話のようで、メンテナンスもロクにされていないのか、手持ちの小銭を何度入れても反応せず、そのまま出てきてしまう。肝心な時に使えなくてどうするんだよ! と心の中で叫ぶ。
テレホンカードなど、普段全く使わないものを持っているはずもなく、大人しく駅に向かうことにした。
駅に付き、ふと、視線がある物体に吸い寄せられた。
――公衆電話である。
「駅に置いてあるのかよ……」
知らない俺が悪いのだが、やるせない。もう電話する気力も無く、俺はそのまま電車に乗って帰宅することにしたのだった。
「ただいまー……」
自宅に着いたが、どうにも様子がおかしい事に気付いた。やけに静かというか明かりが無いというか、誰も居ないのである。
俺は嫌な予感と共に自室に戻り、充電器にスマホを繋いでスマホを立ち上げた。そして、嫌な予感は留守番電話という形で当たっていた。
『あー、もしもし? 今日はちょっと忙しくてご飯作る時間無かったから、お父さんと一緒に外で食べてくるわ。あんたも適当に外で食べときなさい。たまにはいいでしょ、それじゃあね』
母から来ていた留守電を聴いて、俺は項垂れる。
「今度はテレホンカードを持ち歩くことにしよう……モバイルバッテリーとケーブルも……」
虚しく鳴る空腹の虫の音を聴きながら、俺はそう決意した。
書きました。何となく今回も1時間くらいで書くのを目標にしました。
お題を募集すると全く考えたことのない方向から飛んでくるので良い練習になる気がします。次にお題募集した時に複数来たら悪魔合体して書こうと思います。