どうも、ヒマジンです。
完全に小説書くの忘れてましたね。
スパロボTが発売したのが悪いです。
いや、悪いのは100割私ですが。
スパロボT、面白いので皆さん買ってプレイしましょう。復讐鬼達の活躍を見逃すな。
というわけで適当に書きます。
王道です。
【普通の青年と、魔術師】
目を覚ますと、そこは森の中だった。
それもただの森ではなかった。空は木に覆われて見えず、薄暗い。樹海やジャングルといった表現をするのが正しいだろう。
「は?」
思わず素っ頓狂な声が漏れる。
そもそも、何故俺はこんな場所に居るのだろうか。
前後の記憶がなかった。いつの間にか気を失って、目を覚ましたらここにいた、という状態である。
もしかしたら夢の中なのではないかと思ったが、周囲から聞こえてくる森のざわめき、普段全く嗅ぐことの無い青々とした草の匂いが、ここは現実の世界なのだと訴えかけてくる。
ふと、自分の服装に気を向ける。
ラフな格好だ。ジーンズにTシャツ、スニーカー。カバンや財布、スマートフォンや腕時計といった物は持っておらず、近所に散歩しに来たかのような格好だった。
少なくとも、こんな深い森の中には似つかわしくないだろう。その事実を認識した瞬間、混乱していた思考は鳴りを潜め、代わりに恐怖の感情が俺を襲う。
「……とにかく、移動しよう」
恐怖から逃げるために、己の思考を整理するために意識して声を出す。
黙っていたら気でも狂ってしまいそうだ、目を覚ましたら森の中で、おまけに頼れそうな物は何もないと来た。情緒不安定にもなるだろう。
「川を探してみよう」
何かのテレビ番組かマンガか、どこで得た知識なのかは忘れてしまったが、このように山や森の中で遭難してしまった場合には、川を目指すと良いという。
理由は幾つかあり、一つは単純に飲水を確保出来るということ。もちろん、生水を飲むことにはリスクがある。滅菌処理された水道水に慣れた現代日本人の胃は弱くなっているからだ。ペットボトルや火を使って濾過したり沸騰させるなどすれば問題はないだろうが、そんな便利な物は手元にはない。最悪、そのまま飲むことになるだろうが、脱水症状で死ぬよりはマシだろう。
水を確保するとは別の理由、本命はこちらで、川を下っていけばそのうち人の住んでいる場所に辿り着く可能性が高いのだ。
四大文明全てが大河から発祥しているように、川の近くに住むというのは何かと便利であり、そこに人が集落を作る事は多い。
そして俺は川を目指し、歩き出したのだった。
草木をかき分け、窪みなどに足を取られないように気を付けながら進む。
転んだりして怪我をすれば移動力や体力を削がれ、助かる可能性が低くなってしまう。
焦る気持ちを落ち着かせながら、道なき道を進んでいく。
そうして移動しているうちに、俺は何故こんな森の中に居るのかを思考する。
何かのドッキリにしてはタチが悪すぎる。俺はそこまで頭が良い人間ではなく、友人も馬鹿な連中が多いとはいえ、ここまで悪質ないたずらを仕掛けてくるとは考えにくい。
でたらめな妄想と言ってしまえばその通りだが、もしかしたら俺は知らないうちにヤクザか何かに目を付けられてしまったのではないか。
薬物か何かの取引に出くわしてしまい、意識を失う薬を盛られ、証拠隠滅の為に森の中まで連れてこられた……といったように。
何も推理する情報が無い以上、こういった荒唐無稽な考えばかりが思い浮かんで来てしまう。
例えば、俺も幾つか好きなアニメやマンガでもよくある、異世界に転移してしまった、というものだ。
「まあ流石にそんなアホな事は無いわな」
ハハッ、と乾いた笑いを漏らす。いくらなんでも無茶苦茶にすぎるだろう。なんとなく頭によぎった直感のようなものを無視しながら、俺は歩く。
どれくらい歩いただろうか。気付けば、水が流れる音がどこかから聞こえてきた。
逸る気持ちを抑えながらその方向に進むと、次第に視界が広くなってきた。
そして、俺が目にしたのは――全裸の少女が水浴びをしている姿だった。
「は?」
またもや素っ頓狂な声が漏れる。突然の光景に頭はフリーズするが、どこか冷静な目で少女をまじまじと観察してしまう。
少女はこちらを向いていなかった、ということも後押ししたのだろうか。
まず印象深いのは、美しく長い、流れるような銀の髪だ。
ほっそりとしたスレンダーなボディラインは、未発達というよりは、その時点で完成している芸術品といった趣だ。
少しだけ幼さを残した顔立ちも相まって、美しい人形のように思える。
伏し目な瞳には、淡い赤色がよく映えており、その銀髪も相まって、人間味の薄い神聖な空気を纏っていた。
――うん? 瞳?
そこで俺は、少女がこちらを振り返ったという事実に気付いた。
バッチリと視線と視線が交錯する。
「……」
俺は、無言で目を反らし、後ろを向いた。
「……」
少女も無言。
時が止まったかのような静寂が流れる。
何とか先に声を出せたのは、俺だった。
「その……すみません」
謝罪である。
不可抗力と言えど、乙女の裸身をガン見してしまったことには言い訳のしようもない。訴えられれば一発でアウト、前科持ちの青年の完成である。
もはや何もかも手遅れな感はあるが、何とか謝意の言葉を紡ぎ出した。
「気にしないで。そういうこともある」
すると、背後の少女から返答があった。
声もその印象に違わず、綺麗なものだったが、あまり感情が乗っているとは言い難い、こちらを気遣うというよりはただ事実を述べたような声音だ。
少し違和感を覚えたが、俺は謝罪の言葉を続ける。
「本当に申し訳ない、俺に出来ることならなんでもする、だから警察には……」
何とも情けない発言ではあるが、俺は必死だった。
そして、その必死な言葉を遮る少女の声が響く。
「何でも?」
「ああそうだ、何でもだ」
「そう……」
思わず反射的に返してしまった。少女はそれきり何かを思案しているようで、また静寂が訪れる。
「それなら、一つ頼みがあるわ」
「何だ?」
「貴方、私の弟子になりなさい」
「え?」
そして、思わず少女の方に視線を向ける。
弟子? 一体何を言って――
「私は魔術師。貴方には、私の研究成果を学んで貰うわ」
衣擦れの音すら聴こえていなかったにも関わらず、少女は黒いローブに身を包んでいた。
早着替えとかそういったレベルのものではない。俺の常識とかけ離れた事が起こっている。
「さあ、貴方の名前を教えて頂戴」
無慈悲な執行者のように、少女は俺に問い掛けた。
(つづく)
というわけで今日はここまで。
導入も導入といった所で、何も背景が見えてこないですが、とりあえず疲れたのでこの辺で……
続くとは書きましたがいつ続きを書くかは私自身が聞きたいですね。
はぁ~マジハロ5で万枚出したい