自己満足ワールド

その名の通り、自己満足なブログです。

暇だからガンダムの話書いた

暇だったので書きました

 

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「あっぶねっ! 今ので死ななくて助かるわ、俺は運ゲーの神か?おい」
思わず漏れ出る独り言。
俺は指を踊らせるように、ボタンを叩いていた。
戦いは終盤へと差し掛かっている。
「2人で俺を狙って来たか、何とか捌かないと……」
体力は限界だ。味方も敵も満身創痍。使える札は切り尽くされて、後は純粋な腕による勝負だ。
正面にいる相手の攻撃をなんとか躱しながら、攻撃を当てるチャンスを伺う。互いに少しずつ距離を取り合い、硬直状態になり、そして――
警告が表示される。俺は慌てて視線を切り替え、横合いから飛んできているピンク色の光線を躱す。
お返しと言わんばかりに、こちらも黄色の光線を撃ち返す。光線を撃ってきた相手はひらりと身を翻し、射程外へと逃れていった。
俺は射程外へ逃れていった相手から視線を外し、目の前に剣を構えて突っ込んでくる別の相手の攻撃をガードする。
ガキン!と、音がした。攻撃を弾かれ、自分と相手との間に僅かに距離が空いた。
攻撃を弾かれて怯んだ相手は硬直を晒す。
その隙を狙って自分の斜め後ろから緑色の光線が飛んでくる。
光線は相手に直撃し、そのまま2発目、3発目と追撃が入り――

――FINISH

相手が爆発四散する。
そして、戦いが終わった事を告げる文字が表示されたのだった。


薄暗がりを照らす光があった。
チカチカと、ピカピカと明滅する光だ。
天井に申し訳程度に設置された照明を塗り潰すように輝いているそれは、筐体に設置された画面から漏れ出る光。
俺が居るこの場所……ゲームセンターは、ある種の異界めいている空間だ。
電子音を垂れ流すスピーカー。あらゆるゲームの音と、ボタンを叩く指の音、プレイヤー同士の会話や、煽り合いに怒鳴り合いが交じり合い、空気は人と筐体の熱気とタバコの煙で淀んでいる。
そんな空間で、俺は筐体と向き合っていたのだった。
俺は、この空間が嫌いではなかった。むしろ、ある種の居心地の良さまで感じるほどには好きだ。
いわゆるアンダーグラウンド的な、あまり世間的にはよろしくない事をする場所。
旧時代からの不良達、暇を持て余してメダルゲームをする老人、音ゲーに興じるオタクども……
多種多様、しかし共通の薄暗い雰囲気を持った人間達が、そこには集まっていた。
そんな場所で俺が100円を入れることを選んだゲームは、『ガンダムVSシリーズ』と呼ばれるゲームだった。
ゲーセンで『ガンダムをする』と言えば、まずこのゲームの事だと察せられるだろう。
同じくガンダムを題材としたゲームは他にもあるが、一番ポピュラーでプレイ人口が多いのはこのVSシリーズだ。

このゲームにはソロプレイ用のモードと2人プレイ用のモードがある。
今日の俺は、ひとり悲しくソロプレイ用のモード、シャッフル対戦に興じていた。

「今の試合は危なかったな……使えない相方だと思ってたけど、最後で決めてくれんなら万々歳だわ、やるよ」
――これで10連勝。快調だ。
規定の連勝数を終えて、画面にはGAME OVERと表示されている。
筐体の上に乗せてあった缶コーヒーを飲み干して一息つくと、俺は席を立つ。
「あのう……」
「はい?」
後ろから掛けられた声に、振り向きつつ返事をする。
そして、俺は固まった。

「あのっ! 私と――固定を組んでくれませんか!?」
俺に声を掛けていたのは――とてつもない美少女だったからである。

それが、これから俺の相方となり、ガンダムVS界隈に伝説を作っていくパートナーとの出会いだった。

 

 

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暇だったので書きました。たぶん続きます。